[相談]
私は会社で経理を担当しています。
当社の女性従業員(年収400万円程度)の夫(令和5年分の給与年収500万円程度)が、令和6年2月に勤務先を退職しました。
その夫は、退職時点ではすぐに他社へ再就職できる見込みがあったことから、その女性従業員がその夫に係る「令和6年分 源泉徴収に係る定額減税のための申告書」を当社に提出することはありませんでした。
このため、当社は、令和6年6月以降にその女性従業員に支給する給与等の計算において、その夫をその女性従業員の令和6年分所得税の定額減税の加算対象にはしていません。
ところが、令和6年分の年末調整にあたりその女性従業員に再確認したところ、夫は再就職に失敗しており、現在も求職活動中であるため、令和6年分の給与年収は60万円で確定とのことでした(なお、その夫には令和6年中に給与所得以外の他の所得はありません)。
そこでお聞きしたいのですが、その女性従業員の令和6年分の年末調整において、その夫は、その女性従業員の令和6年分所得税の定額減税(年調減税)額の加算対象になるのでしょうか(加算対象となる場合には、その女性従業員から、その夫に係る「令和6年分 年末調整に係る定額減税のための申告書」の提出を受ける予定です)。
[回答]
ご相談の場合、その女性従業員の夫はその女性従業員の令和6年分所得税の定額減税額の加算対象となります。詳細は下記解説をご参照ください。
[解説]
所得税法上、居住者(※1)の令和6年分の所得税については、その人のその年分の所得税の額から、令和6年分特別税額控除額を控除することと定められています(定額減税)(※2)。
上記の所得税の定額減税額は、居住者(納税者本人)について3万円、(所得税法上の)同一生計配偶者又は(所得税法上の)扶養親族を有する居住者については、3万円にその同一生計配偶者又はその扶養親族一人につき3万円を加算した金額とすると定められています。
※1 居住者とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいいます。
※2 ただし、その人の令和6年分の所得税に係るその年の合計所得金額が1,805万円を超える場合については、定額減税の対象外となります。
上記1.の「同一生計配偶者」とは、居住者の配偶者でその居住者と生計を一にする人(※3)のうち、合計所得金額が48万円以下である人(※4)をいいます。
※3 青色事業専従者に該当する人で給与の支払を受ける人及び(白色)事業専従者に該当する人を除きます。
※4 所得が給与所得のみである人の場合、年収が103万円以下であれば合計所得金額は48万円以下となります。
所得税法上、その人が居住者の同一生計配偶者に該当するかどうかの判定は、その年12月31日の現況によると定められています(※5)。
今回のご相談の場合、今年(令和6年)末時点におけるその女性従業員の夫の令和6年分の合計所得金額が48万円以下となることから、その夫はその女性従業員の所得税法上の同一生計配偶者に該当します。
このため、その夫は、その女性従業員の年末調整において、令和6年分所得税の定額減税額の加算対象となります。
※5 ただし、その判定に係る人がその当時すでに死亡している場合は、その死亡の時の現況によります。
[参考]
所法2、28、85、措法41の3の3など
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