お役立ち情報

文書作成日:2024/11/05
法人における基準期間の課税売上高の算出ルールと消費税の納税義務

[相談]

 私は、令和6年10月1日に、学習塾を経営する会社を設立しました。当社の資本金は500万円で、事業年度は毎年5月1日から4月30日までの期間としています(このため、第1期の決算日は令和7年4月30日となります)。
 また、当社の第1期の消費税課税売上高は700万円を見込んでおり、第2期の消費税課税売上高は900万円程度を見込んでいます。
 そこでお聞きしたいのですが、上記の売上げ推移を前提とした場合、第3期(令和8年5月1日から令和9年4月30日)について、当社は消費税の納税義務者にはならない(=消費税免税事業者となる)という理解で合っておりますでしょうか。
 なお、当社の顧客は、その100%が一般消費者(事業者ではない人)であることから、当社がインボイス(適格請求書)発行事業者の登録を受ける予定は一切ありません。

[回答]

 ご相談の内容を前提とした場合、貴社の第3期については、消費税免税事業者ではなく、消費税課税事業者となるため、消費税の納税義務が生じるものと考えられます。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.消費税法上の小規模事業者に係る納税義務の免除の規定の概要

 消費税法では、事業者(※1)は、国内において行った課税資産の譲渡等(※2)につき、原則として、消費税を納める義務があると定められています。

 ただし、事業者のうち、その課税期間(※3)に係る基準期間(※4)における課税売上高が1,000万円以下である者(※5)については、原則として、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等につき、消費税を納める義務を免除すると定められています。

※1 事業者とは、個人事業者及び法人をいいます。

※2 課税資産の譲渡等とは、資産の譲渡等(事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供)のうち、消費税が非課税とされるもの以外のものをいいます。

※3 課税期間とは、個人事業者の場合は、原則として1月1日から12月31日までの期間、法人の場合は、原則として事業年度となります。

※4 基準期間とは、個人事業者についてはその年の前々年をいい、法人についてはその事業年度の前々事業年度(その前々事業年度が1年未満である法人については、その事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間)をいいます。

※5 基準期間における課税売上高が1,000万円以下である者からはインボイス(適格請求書)発行事業者を除くと定められているため、インボイス発行事業者の登録を受けている事業者については、基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、消費税納税義務は免除されないこととなります。

2.基準期間における課税売上高とは

 消費税法上、上記1.の「基準期間における課税売上高」とは、次に掲げる事業者の区分に応じ、それぞれに定める金額をいいます。

  • @個人事業者及び基準期間が1年である法人:
    基準期間中に国内において行った課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から、売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額
  • A基準期間が1年でない法人:
    基準期間中に国内において行った課税資産の譲渡等の対価の額の合計額からその基準期間における売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額を、その法人のその基準期間に含まれる事業年度の月数の合計数で除し、これに12を乗じて計算した金額

 このため、ご相談の第3期の基準期間(令和6年10月1日から令和7年4月30日までの7ヶ月間)における課税売上高は、

【 700万円÷7(ヶ月)×12=1,200万円 】

となり、1,000万円を超えることとなります。

 したがって、貴社の第3期については、消費税免税事業者ではなく、消費税課税事業者となり、消費税の納税義務が生じることとなります。

[参考]
消法2、5、9、19など

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。
トップへ