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文書作成日:2024/10/01
会社が地方公共団体に対して現物資産を寄附した場合の法人税法上の取扱い

[相談]

 当社(株式会社)は、小中生を対象としたスポーツ教室を運営しています。
 当社では、地域のスポーツ振興に貢献したいとの思いから、当社がスポーツ用品メーカーから一括購入したスポーツ用品一式を、各地域の地方公共団体に寄贈することとなりました。
 そこでお聞きしたいのですが、上記のスポーツ用品の寄贈は、法人税法上損金算入が認められるのでしょうか。
 なお、今回寄贈するスポーツ用品については、地方公共団体から発行される採納証明書に記載された型式等によりその特定が可能であることを申し添えます。

[回答]

 ご相談のスポーツ用品の地方公共団体への寄贈については、法人税法上の地方公共団体に対する寄附金としてその全額の損金算入が認められるものと考えられます。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.法人税法上の寄附金の損金不算入制度の概要

 法人税法上、内国法人が各事業年度において支出した寄附金の額の合計額のうち、その内国法人のその事業年度終了の時の資本金の額及び資本準備金の額の合計額もしくは出資金の額又はその事業年度の所得の金額を基礎として一定の方法により計算した金額を超える部分の金額は、原則として、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しないと定められています。

 ただし、その寄附金の額のうちに、国又は地方公共団体に対する寄附金(一定のものを除きます)の額があるときは、その支出した全額が損金の額に算入されると定められています。

2.法人が金銭以外の資産を国等に帳簿価額により寄附した場合の処理

 法人税法上、法人が金銭以外の資産をもって寄附金を支出した場合には、その寄附金の額は支出の時におけるその資産の価額によって計算することとされていますが、法人が金銭以外の資産をもって支出した一定の寄附金(指定寄附金、特定公益増進法人に対する寄附金)につき、その支出した金額を帳簿価額により計算し、かつ、確定申告書に記載した場合には、法人の計上した寄附金の額がその資産の価額より低いためその一部につきその確定申告書に記載がないこととなるときであっても、指定寄附金や特定公益増進法人に対する寄附金に関する法人税法上の規定を適用することができることとされています。

 以上を総合的に勘案しますと、今回のご相談のスポーツ用品の地方公共団体への寄贈については、地方公共団体が発行する採納証明書に記載された型式等によりその寄贈品を特定することができることを前提とした上で、法人税法上の地方公共団体に対する寄附金としてその全額の損金算入が認められるものと考えられます。

 また、その寄附金の額は、寄贈するスポーツ用品の寄贈時の時価によって計算することが原則となりますが、帳簿価額によって計算することも可能であると考えられます。

[参考]
法法37、法基通9-4-8、国税庁法人税質疑応答事例など

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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