医療法人の交際費課税は、持分ありかなしかによって損金とすることができる金額が異なります。今回はこの点を確認します。
〜持分あり医療法人の場合〜
法人が支出する交際費等の額は、基本的に、その全額が損金不算入額となります。
ただし、法人の資本金等によって、損金となる金額も存在しています。
たとえば、持分あり医療法人について、期末の出資金の額が1億円以下である場合には、基本的には次のいずれかの金額までを損金とすることができます。
実務上は、上記Aを適用している医療法人がほとんどではないでしょうか。
〜持分なし医療法人の場合〜
他方、基金拠出型医療法人のような持分なし医療法人については、出資金の概念がないため、次の算式で計算した金額を「準ずるもの」とし、1億円以下である場合に、上記の取扱いとなります。
この場合における期末簿価とは、確定した決算に基づく貸借対照表に計上されている金額を指します。
また、定款に基づき拠出を受けた資金を貸借対照表上の純資産の部に「基金」として計上している場合には、その基金の額は、総負債の期末簿価に含めます。
仮に上の算式で計算した金額が1億円を超えた場合には、上記1Aは適用できず、@となります。
(100億円を超えた場合には、いずれも適用できず、原則通り全額損金不算入です。)
〜持分なし医療法人の場合〜
持分なし医療法人について、上記2の算式により計算した金額が1億円以下ということは、当期の損益を除いた純資産の期末簿価が166,666,668円以下である必要があります。
配当による流出ができず内部留保がたまりやすい医療法人にとって、この金額はすぐにでも達してしまいそうですが、貸借対照表をもとに計算した(基金を除いた)純資産の期末簿価が1億6千万円に近づいた場合には、そろそろ損金とできる交際費等の限度額計算が変わるかもしれないと、お考えいただく必要があるでしょう。
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